2018-09-11 紫 クリームソーダが泡を立て 交わした言葉が浮かんでは消えていく 中身は空っぽの 透明なブドウ 甘くて酸っぱく、ときおり渋い 降り出した雨が斜めに線を引き 待ち針のように果実を突き刺す 穴から傷みが広がって 会話のかたわらに腐り落ちた 皮を拾って縫い繕う 心模様の写すシャツ あいまいなフレーズで濁ったクリームソーダが 少しこぼれて染みになった