おお(き)すぎる感覚

日頃目にする多くの事柄は、いろいろな媒介を通じ自分の前に情報として提示されている。 テレビのチャンネル、ネット上のソーシャルメディア、誰かとの会話にあらわれる噂…。あるいは調べ物をしているときのある制度についての資料。 取り上げられ、出来事と…

近頃の雑記

5月7日 最近の進路についてのあれこれ。ぼんやりと考え事をする日々が続く。いくつかの要素やカテゴリに分けて、それらを繋いでは離し、組みあがるものを眺めている。いびつな形が多いが、きれいに組みあがったとしても、どこか不安な構造であることが多い。…

企画展『創作版画の系譜』に行って

このあいだ、茅ケ崎市美術館で行われていた企画展『創作版画の系譜』に足を運んだ。 昼すぎ、天気は曇り(少し雨)で、やや寒い。まだ冬の寒さの名残を感じる。3月。 『創作版画の系譜』ポスター 創作版画というのは、版画の工程である主な三つの作業――下絵…

Glad I heard

このごろ日常に興味がある。 日常と言ってもいろいろあるだろう。その言葉の意味には幅があり奥行きがある。 日常について日常的に考えているわけではないけれど、ときおり頭にそのことが浮かんで、あれこれ考えている。 どういう日常かというと、まず映画の…

深夜・版画・自己肯定

今日も夜が更けた。部屋を出て街へ行けば、信号と街灯が夜道を照らし、ひっそりとした空間が広がっているはずだ。 夜が更けたのは版画を彫っていたからだ。版画を彫っていたのは本を読む作業に集中できなかったからだ。本を読む作業に集中できなかったのはス…

そぼろ雪

雪が降ると決まって思い出す景色は、とくにない。 さいきん過ごしているあたりではめずらしく、今年はよく雪が降る。寒いけれど、やはりうれしくなって散歩のついでに近くのスーパーまで歩いた。 天気は曇り。日は見えないが重い感じはしない。道端にはいた…

お寿司の記憶

このごろ、お寿司を握った。 友人とスーパーマーケットを歩いていたとき、刺身が目に入った。横から見たクジラのシルエットをイラストにしたような形の切り身だった。あるいはペニー・ファージングのようなバランスとも言える。そんな形なので、おそらく扱い…

汲み取れているだろうか

(周りくどいある場面にて…) 目の前に誰かいるとき、少なくともその人のことを理解しようとするために、その人についてとらえようと努力する場合が、なくはないだろう。目の前の誰かというのは、まず文字通り眼前の誰かということもあるだろうし、あるいは…

そしてまた自分はまわりくどく、夜は更けていく

その人がいない場面で、その人との関わりによっていかに自分が嫌な気持ちになったりいかに不快と感じたりしたかを、誰か他の人に話すことは、少なくないかもしれない。誤解をおそれずに言えば、目の前にいない人の悪口を言うことである。 こういうことをした…

白い線

雪が降った。 とても寒い夜だった。風が吹き、木々は揺れていた。空を舞う白い埃のようなかたまりが、傘を持つ右手の甲に冷たい。 夜の街、好きな音楽たずさえてわけもなくスキップする。蛍光色の街頭や色あせた街路樹を背景に、ひとり嬉々として暗闇に身を…

説明する

しばしば考える。 自分は何をしているんだろう?本を読むことで、そして言葉を知ることで。何かを得ているのか、それともただただ時間を浪費し結果としてお腹を空かしているだけなのか、あるいは別の何か…。 一般的に、本を読むことと知識や言葉を増やすこと…

よそよそしい態度

最近のマイブームは自己分析だと気付いた。自分は自分で自分の首を絞めるのが得意だと思う。 正確にいうと、気付いたら「またしてもなんか絞まっている」という状態になっていることが少なくない。 それは特に人間関係においてそうだという気がする。 自分は…

自分についての物語

たまに読み返す本に、高井有一の『谷間の道』がある。特にその中の一節の「遠い明り」のことを、僕は折に触れては思い出す。 なぜか?それは多分、自分のことについてそこに少しだけ書かれている気がするから。 でもそれって良いことなんだろうか?と思った…

匂いの引き出し

「きんもくせいの匂いはお祭りの季節!」 そういう事について高校の時、クラスメイトが楽し気に言葉にした。 秋が近づく9月の終り頃だったと思う。夏の気配は過ぎ去り、蝉の鳴く声もいつの間にか聞こえなくなっていた。教室では窓から入るそよ風が心地よく、…

遅刻

高校生だったころ、よく学校に遅刻していた。 通学路は次の通りだ。まず自宅から最寄り駅まで自転車でおよそ10分。下り電車に揺られること約20分。電車を降りたら、駅から学校まで歩いてだいたい10分。合計40分。教室には8時20分までに着かなくてはいけなか…

クリームソーダが泡を立て 交わした言葉が浮かんでは消えていく 中身は空っぽの 透明なブドウ 甘くて酸っぱく、ときおり渋い 降り出した雨が斜めに線を引き 待ち針のように果実を突き刺す 穴から傷みが広がって 会話のかたわらに腐り落ちた 皮を拾って縫い繕…

つかめぬままに

ある街のあるデイサービスに、1年半くらい顔を出している。多い時には週に2,3回程度で、少ない時は月に1回訪ねるかどうかという頻度だ。自身の予定や都合に合わせて行っている。 時間は、早い日では朝9時ころから行くこともあるが、だいたい午後の日が…

ネガティブフィルム

写ルンですを現像した。半年前に旅行用に買ったものの旅先では使い切らず、以来気が向いたときに撮っていた。 昼過ぎ、空はどんよりと曇っている。駅前の小さなカメラ屋さんに足を運ぶ。古びたドアを押し店に入ると、子どもを連れた女性がタッチパネルを操作…

今日も

ひとりっぽいな~と感じる。 もちろんSNSで誰かと繋がっているとか、同級生や家族と連絡を取れるとか、 そういうのはあるけれど。 日々を過ごすいろいろな場面で感じる。 人生の航路の中で漕ぎ出す船はいつもひとつとか、そういうものでもない。 空の青い部…

今日もハトが飛んでいた

今日もハトが飛んでいた なぜ? あの塀の向こうに 何があるかを僕は知ってる梅雨になれば紫陽花が咲くあの場所を 僕は知っている駅へ行き切符を買って 改札を過ぎホームへ行けば時間通り電車が来ることを僕は知っている 部屋から見る広い枠に収まる空を外に…

読書用のブログ

読書用のブログを作りました。 → http://swtsgym.hatenadiary.com いや、このブログも読書メモちゃうんかいというツッコミはあると思いますが、まあこっち(この記事が載っている方)は趣味というか、肩の力抜いて書きたい方ということで…。 読書用のブログは…

Home

遠くに明かりが見えた 駅のホームから 商店街の人気のない暗さ 炭酸ジュース、思い切り投げ込む 誰かに届く 返事のないボトル 手紙を入れたわけでもなく 海に浮かぶ瓶でもない いつかはどこかに行き果てる

Airplane

僕は眺めていた窓から見える星のカタログを あの星は言うだろう空飛ぶ点滅がよりどりみどりだと 星のようには結ばない街をつなぐ線夜の帳が星を描く

茶の相談室①

N(悩みの頭文字をとってN)が悩みを打ち明けに来た。 ………… N「こんにちは」 相談員(以下、相)「どうも」 N「突然ですが、悩んでいるんです」相「そりゃあ悩むだろうね。具体的に、何を悩んでいるのかな?」 N「悩みについて、悩んでいるんです」相「なんだっ…

「具体的に」生きる/坂口恭平『TOKYO 0円ハウス 0円生活』

この本は、“路上生活”をいとなんでいる「鈴木さん」とその相方である「みっちゃん」の二人が、“0円ハウス”に住みながら過ごす日常を巧みに描写したものである。 坂口恭平は建築家/作家であるのだが、鈴木さんの“0円ハウス生活”について建築やものづくりの観…

私と雑巾

最近よく、目の前の課題を終えたあとのことを想像する。 これを終えたら何をしようか。 何をしようかと言うのは何を食べようかとかどこへ出かけようかとかと言うよりは、何か自分の進路に関わるような何かである。 自分は何の人なのか? 文字の人なのか、絵…

真正性の水準とケア

文献の引用。とくにまとまりはないが、あらためて見返すために。 ケアの議論で、ケアとは関係性そのもの(対人関係そのもの)であるというような主張がなされることがある。 たとえば三好春樹は、以下のように述べる。(直接引用ではないが) 渡辺さんは、真…

ASIAN KUNG-FU GENERATIONの音楽を聴く

今回は本とはあまり関係がない。 昔から、ロックバンドであるアジカンことASIAN KUNG-FU GENERATIONが好きで、かれこれ12〜3年くらい聴いている。 何が好きかといえば、歌詞だったり、メロディだったり、ボーカルの後藤正文のギターだったり、伊地知潔のドラ…

「民族誌を再演する――ターナーとパフォーマンス」(メイキング文化人類学を読む①第8章)

1.民族誌を読むことの意味 2.民族誌を演じる 3.ザンビアのとある儀礼 4.「演じること」と「本物」のゆくえ 5.おわりに 今回は、『メイキング文化人類学』の第8章、「民族誌を再演する――ターナーとパフォーマンス」を紹介する。 1.民族誌を読むこ…

2220円の旅

バスを乗り逃した。 ある駅から発車するバスで、発車時刻は10:30。 私はその駅に向かうために、電車に乗った。駅に到着する予定時刻は10:21。 バス停は駅前なので、改札を出てから1分くらいで着く。21分に着くなら(余裕はないだろうが)大丈夫だろうと思って…