そぼろ雪

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雪が降ると決まって思い出す景色は、とくにない。

 

さいきん過ごしているあたりではめずらしく、今年はよく雪が降る。
寒いけれど、やはりうれしくなって散歩のついでに近くのスーパーまで歩いた。

 

天気は曇り。日は見えないが重い感じはしない。道端にはいたるところに雪の塊がある。きっと誰かが雪遊びをしたのかもしれない、いや単に雪かきをしただけかも、などと想像する。人が歩いたり、車が通ったりしたせいですこしだけ灰色がかっている。他方で、家々の屋根は均等に白く染まっている。まだ誰も足を踏み入れていない。ときおり鳥が飛んできては無造作に歩き回っていた。

 

 

 

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スーパーの売り場で、何やら宣伝をしている女性の店員がいた。60代くらいだろうか。
バレンタインデーが近いこともあってか、スーパーにはチョコレートコーナーが設けられていて、その傍らでその人は仕事をしていた。
チョコレートの種類はさまざまだったが、どれも文字通り「甘い」ひとときを演出するような感じの、でもなんとなく安っぽい雰囲気のものだった。
しゃがれ声で「さぁさぁ買っていって!」、とても元気な声で売る様子は、一目見てあまりチョコレートが想像させる場面とは合致しない。
チョコレートってそういうふうに売るものだっけ? すこしおかしくて、ふふっと笑顔になった。

 

 

その人の声を聴いて、今日もまた僕はかつての記憶を思い出した。数年前に給食センターで働いていたころの記憶である。目のぱっちりした笑顔が素敵な女性。例えるなら、ほんの少しだけタレントのYOUみたいな雰囲気だったかもしれない。ちょっと違うかな。
でも、また昔の思い出話ということで、いつもと似たような感じになるので今日はやめておこう。
雪も降っているし、その景色をあついコーヒーでも飲みながら眺めていよう。